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エースの復権は木鶏の如く。大瀬良大地のノーノー試合にあっぱれ。(6/7ロッテ1回戦4-0)

エースの復権は木鶏の如く。大瀬良大地のノーノー試合にあっぱれ。(6/7ロッテ1回戦4-0)

その瞬間、恥ずかしそうに片手で控え目なガッツポーズをした後で、思い出したように両手を宙に掲げてガッツポーズをした男。マウンドに駆け寄ったキャッチャー會澤が彼の身体を後ろから抱え上げると、何度も攻守で大記録達成を救ったショート矢野や秋山、タイムリーで華を添えた野間や小園が満面の笑みで彼に抱きついていく。 ベンチから飛び出してきたメンバーがその輪に加わると、まるで優勝したかのように水飛沫を上げながら飛び跳ねる。相変わらず松山に飛び蹴りを喰らわしているのは菊池。ゲームセットの「その瞬間」を記録しようとスマホで撮影しながら最後の場面を固唾を飲んで見守っていたマツダスタジアムの大観衆が思い切り弾けた。歓喜の渦。 前田健太が横浜スタジアムでノーノー試合を完成させたのが2012年、田村スカウトが執念の右腕でクジを引き当てその男をドラフト1位で獲得したのが翌年2013年の秋。入団1年目の2014年には10勝をあげて新人賞に輝き、三連覇の最終年2018年には15勝7敗で最多勝と勝率1位のタイトルを獲る。しかしながら、彼の野球人生は順風満帆なだけではなかった。 2年目の2015年は成績が伸びずリリーフへの転向を余儀なくされる。そしてチームとしてCS進出をかけた最終試合、既にMLB行きが決まっていた前田健太の後を継いでマウンドに上がった彼は竜打線に打ち込まれてて試合を壊し試合後にベンチで人目も憚らずに泣き崩れた。前田と黒田に身体を支えられて最後の挨拶の列に加わる憔悴した彼の姿は、今でも鯉党達の脳裏に鮮明に焼き付いている筈。 2016年。25年ぶりの優勝で、チームが、広島が、そして全国の鯉党が旨酒に酔いしれたシーズンも、彼は先発ローテから完全に外れて中継ぎ投手の一人として黙々と投げ続けた。ポジションを勝ち取って先発に戻ったのは2017年、そこからは連覇に貢献する活躍を見せるも2020年以降は再び悩み、以降はイバラの道へ突入していく。 もはやエースではない。マスメディアにも断罪されながら結果を出せないシーズンが続く。怪我の状況も良くない中で、愛するファンからの罵詈雑言に耐えながらも前を向き続ける。その優しい性格からか、それとも「木鶏」の如くという振る舞いなのか、負け続けるピッチングでもこちら側に覇気が伝わってこない「元エース」に対し、イライラが募っていく鯉党。阪神の投手に死球をぶつけられてもヘラヘラと笑顔で返す彼に、勝負師としての覚悟が足りぬと鯉OBからも批難が飛ぶことも。何度も何度も「今年こそは、次の試合こそは」と期待されながら、何度も何度もその期待を裏切ってきた彼。もう限界かもしれない。もう彼に期待するのはやめよう。 肘に三度目のメスを入れて臨んだ2024年のシーズン。いや、2023年の阪神とのクライマックスシリーズで魅せたあの魂のピッチングから彼の「復活」いや「復権」は始まっていたのかもしれない。寒い冬場の黙々とした身体作りと走り込みの効果か、マウンドでの躍動感が戻ってきた。彼の生命線であるカットボールが蘇り、チェンジアップや落ち球の精度が戻る。全盛期のようにガンの数値は伸びなくともキレのあるストレートが四隅にビタビタに吸い付くコマンド。気づけば今シーズンは防御率も1点台を切りそうなレベルでセリーグトップの位置。何よりあれだけ悩んでいた飛翔癖の彼が未だに「被弾ゼロ」を続けている。大きく変わっていく彼の投球スタイル。再び不死鳥の如く甦っていく、鯉のエースの復権だ。 そして。それでも変わらないのが「人としての」彼の資質。素晴らしさ。単に優等生ぶっているのでは?いいカッコしいはやめろと彼を揶揄する人には言わせておけばいい。結果が出ている時も、結果が出せない時も、彼の姿勢は変わらない。常に他者へのリスペクトを忘れずに、同時に己を律すること。それは「鈍感力」とも逆に「不感症」だとも言えるのかもしれないが、まさにそれこそが彼の表するところの「木鶏」なのだろう。闘鶏の姿。強さは内に秘め、相手に対して全く動じることなく対峙する姿。 8回裏に打席に立った彼にロッテの投手が投げ込んだボールが抜けて142キロのストレートが顔付近を通過した。思わず仰け反ってこの球をよけた彼は、一瞬だけ表情を強張らせて闘志を見せたが、すぐにあの柔らかい「笑顔」に戻って、その投手の方へ視線を返した。投球スタイルがどんなに変わり続けていても、やはり彼は彼なのだ。 こんな大記録の最後の場面は、普通ならピッチャーの「正面を向いた弾ける笑顔」がアップで大写しになって、オレが記録を作りました!とばかりに大きくガッツポーズ、そこにキャッチャーが飛びついていくのが常である。しかしながら昨日の最後の場面は少し違った。打球がライトに飛んだこともあるが、ゲームセットの瞬間、彼は正面ではなくクルッと反対方向を向いて、バックを守ってくれた野手陣の方を見ながら、信頼する仲間の顔を見ながら、満面の笑みで控え目にガッツポーズをしてみせた。バッタバッタと三振ばかり自分のチカラだけで完全試合をするのもそれはそれで素晴らしいが、奪三振2つだけでバックの野手陣と共に大記録を達成するのが一番彼らしいやり方。 あっぱれ。 その名も大瀬良 大地(32歳) ノーヒットノーラン達成。おめでとうございます。 ↓クリックお願いします。 にほんブログ村

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