ドラフト会議をいよいよ明日に控えた水曜日のお昼ですが、正午の現時点でも12球団から1位指名の事前公表は一切出ていません。ネットニュース各社でも「指名公表ゼロなら13年ぶり」と大きく報じられており、直近数年のトレンドだった「早期公言による一本釣り・他球団牽制」から一転、各球団が腹の探り合いを極限まで続けている異例のドラフト前日となっています。 1. 13年前・2013年ドラフトの記憶:広島「3連覇の礎」が生まれた日「公言ゼロ」だった13年前の2013年ドラフトを振り返ると、各球団の思惑が激突した非常に興味深い年でした。高校生No.1左腕・松井裕樹:5球団競合(楽天が獲得)大学No.1右腕・大瀬良大地:3球団競合(広島が獲得)社会人屈指の好右腕・石川歩:2球団競合(ロッテ、巨人でロッテが獲得)社会人No.1右腕・吉田一将:オリックスが単独指名(一本釣り)事前の公表がなかったからこそ、蓋を開けてみれば人気選手への重複と、隙を突いた一本釣りが鮮やかに入り乱れる結果となりました。そして何より特筆すべきは、この年の広島東洋カープの指名です。1位:大瀬良 大地2位:九里 亜蓮3位:田中 広輔抽選で大瀬良投手を射止め、2位で即戦力右腕の九里投手、3位で社会人No.1ショートの田中選手を確保。このドラフトこそが、後のリーグ3連覇を支える絶対的な礎となりました。 2. 「不作」の年こそ下位が生きる:2013年・梅野の例に見る地殻変動今年のドラフト戦線は、世間やメディアから「やや不作」「抜けた主役が不在」といった評価が目立ちます。しかし、各球団のスカウト評価や客観的な実力をフラットに並べて精査していくと、決して人材が枯渇しているわけではありません。しっかりと評価順に並べていけば、少なくとも4巡目あたりまでは実力のある好素材の名前が十分に並びます。上位で思わぬサプライズ指名や、チーム事情によるピンポイント指名が重なれば重なるほど、想定外の実力者が下位へスライドしてきます。思い出されるのが、前述した2013年ドラフトです。当時「大学ナンバーワン捕手」と誰もが高く評価していた梅野隆太郎選手(福岡大)が、各球団の巡り合わせによって4位(阪神)まで残っていたという事実がありました。今年のような前評判が割れている年だからこそ、5巡目あたりに「なぜこの選手がここまで残っているのか」という実力派が転がり込んでくる可能性は十分にあります。 3. 今年のカープの指名方針不祥事や退団劇、主力選手の流出危機によって、現在のカープは二遊間をはじめ、野手も投手も「質・量ともに壊滅的に足りていないポジションが山積み」となっています。ファンとしては「ショートを埋めてくれ」「即戦力捕手を獲ってくれ」「先発の頭数が先だ」と、補強ポイントばかりに目が行きがちです。球団フロントも焦りから、ポジションの穴埋めを優先したくなる衝動に駆られるかもしれません。しかし、たった1回のドラフトで現在の歪んだ編成ピラミッドをすべて修復することなど絶対に不可能です。だからこそ、今年カープが貫くべきスカウティングは以下の2点に尽きます。穴埋めの数合わせに逃げないこと「ショートが足りないから」と、2位や3位でワンランク実力の落ちる選手を無理に繰り上げて指名する悪手を打ってはなりません。その指名順位で残っているベストプレイヤーを愚直に指名すること補強ポイントを頭に入れつつも、その巡目で一番スケールが大きい選手、あるいは最も実戦力の高い選手を確実にさらっていく姿勢が求められます。チームの再建にはどうしても数年の時間がかかります。場当たり的な需要の指名で終わるのか、それとも2013年のように数年後の黄金期を信じて「実力重視」で指名し切れるのか。午後からの各球団の動き、そしてカープスカウト陣の最終判断を注視していきます。
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