広島東洋カープに、いま新しい熱を運んでいる選手がいる。名原典彦。広島県出身、瀬戸内高から青森大を経て、2022年育成ドラフト1位でカープに入団した外野手だ。
名原の魅力は、ひと言でいえば「必死さがプレーに出ること」だ。派手な肩書きで一軍に上がってきた選手ではない。育成契約4年目、一度は戦力外通告を受け、そこから再契約を勝ち取り、2026年5月21日に支配下登録された。背番号は121から92へ。ようやく立った一軍の舞台で、彼は自分の価値を全身で証明している。
武器は俊足と強肩、そして外野守備。打球への反応、思い切りのいい追い方、フェンスを恐れないプレーには、グラウンドを駆け回る外野手らしい躍動感がある。さらに一軍デビュー後は打撃でも存在感を発揮。初出場初スタメンで初安打、初打点を記録し、その後も複数安打や適時打でチームに流れを呼び込んだ。
特に印象的なのは、ただ結果を残すだけでなく、ベンチやファンの空気まで変えているところだ。名原が塁に出る。全力で走る。守備で体を張る。すると、試合の温度が少し上がる。新井監督が評価するハングリー精神は、数字だけでは測れないチームへの貢献だ。
広島出身の選手が、地元球団で、育成からはい上がり、一軍で声援を浴びる。その物語性もファンの心をつかむ。だが名原の魅力は感動話だけでは終わらない。走攻守で試合に関われる実戦的な力があり、苦しい展開で空気を変えられる。いまのカープに必要な“勢い”を持った選手だ。
まだキャリアは始まったばかり。それでも名原典彦は、すでにカープファンに「もっと見たい」と思わせている。泥くさく、まっすぐに、グラウンドを駆ける背番号92。その姿こそが、名原典彦という選手の最大の魅力だ。
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